スウェーデンの Bole というタンナーの
樹皮と川の水だけでなめした化学物質を一切使わないナチュラルな革
とても貴重な革でありタンナーです
Bole http://www.boletannery.com/
と、その時点では6月末辺りには革が届くのでは、という予定でした。
今後のスケジュールを確認したところ、
8月末くらいに靴が仕上がっていればOKということでしたので
革が届いて7月あたまくらいから8月末まで2カ月弱あれば
サンプル → 本番靴
うん、なんとか仕上がるかな・・・
そしてバタバタと忙しく日々を過ごしていると8月も半ば
未だ革は届かず
ふと、「あれ?コラボ靴の企画なくなっちゃったのかな?もう8月半ばだし」
なんてところに、当然届いた Bole の革
「うそッ! もう8月半ばですけど・・・」
焦って事情を伺ったら、
あちら現地スウェーデンは長い夏休みでということでことが動いていなかった
「こ・れ・は、まずいぞ」
とにかくギリギリのスケジュールを確認すると、
9月末に仕上がっていればと
もうそこから急ピッチで取り掛かりました
さて、はじめましての革
ジャーン! 噂以上のtough guy
一応、打ち合わせ時に2mmで漉き加工をお願いしておきましたが
「かっ、かたい」
「でもって、何この革! すごくいいにおい。」
そう、木の香りのする革
植物的というか、ずっと嗅いでいたいくらいの
これで枕カバー作ったらぐっすり眠れそうな
とってもいい香りのする革
「すっごい、こんなのはじめてー

ここで今回のコラボシューズのテーマ
Boleのこのナチュラル革でドレス系の一枚甲紐靴と一枚甲スリッポンを作る
です
とはいえこの革、どう扱ったらいいものか
この硬さを一枚甲で木型に沿わせつり込まなくてはならない
つり込めるのか? 革は伸びるのか?
時間がない、まずは濡らして癖づけしてみよう
全体をびしょびしょに濡らしたら
まあ別の革かというくらい柔らかく扱いやすくなりました
これならいけんじゃ
木型に仮づりして一晩おいて乾くのを待ちました
翌日、乾いた革は
カッチ、カチのむーら、むら
そうです濡らして乾いた革は元の状態より硬くなり
むら状に変色しておりました
「こりゃダメだ」
どうする、どうする
一枚甲はあきらめるか? でも悔しいな
「!」
これそのまま癖付けしてみよう
この革をいじっているうちに感じたのですが
この革触ってると粘りというかコシがでるというか
とにかくやってみたら
これいけるんでしょ、うん。
これでつり込めることがわかれば、そこからはどんどん進みまして
スリッポンの方はスキンステッチで糸を隠し、
一枚甲の印象を崩さずつりこみやすく型紙で工夫
一枚甲の紐靴はドライの状態で癖づけをしてから製甲でまとめる
もう、ぶ厚いっつーの
どちらもなんとかサンプル靴を仕上げることができました
もうこの時点で9月半ば
急いでSUN/kakkeの尾崎さんにサンプルを見ていただき
最終打ち合わせをして
10月のあたまになんとか本番靴まで仕上げることができました
ホッとしました、がんばりました。
こちらが仕上がりの靴です
Bole 一枚甲スリッポン マッケイ製法
Bole 一枚甲紐靴 マッケイグッド製法(ブラックラピド)
画像では伝わらない部分もありますので
よろしければ会場で現物をご覧いただけましたら嬉しいです。
「JAPAN 靴博 2015」
10月28日(水)〜11月10日(火)
伊勢丹新宿店 メンズ館地下1階 で開催されている靴博覧会
ねぎしでした