2011年04月06日

コードバンをまとめていく

今、あい間をみながら取り掛かっているコードバンのサンプル靴


つり込みが終わりましたので


その様子を





コードバンは厚みが2mm〜2mm強程あります


ふだん主に使っているカーフは厚みが1.5mm程度ですので


コードバンをつり込むのはカーフよりちょっと骨が折れます






つり込みの時に踵部(おしり)や爪先部(あたま)をつり込む作業を

まとめるといっています


「踵をまとめる」「あたまをまとめる」と





手順として通常は、踵から先にまとめていきます

(袋モカの逆づりはあたまからですが)




コまとめ.JPG

それでは踵からいきましょう




コまとめ (2).JPG

迫力の2mm厚、気合い入れていきましょう


僕はまず、このようにある程度均等にわけてしまいます


コまとめ (4).JPGコまとめ (5).JPGコまとめ (3).JPG

まだこの状態では木型側に皺が出ていますね


この皺を木型側全面から消していきます



ワニを使って裏表の革を別々の力加減で引きながら


木型に添わせつつ皺を抜く


ハンマーで叩いて革を締め、木型の形状をだしていく



この繰り返しでまとめていきます





コまとめ (6).JPG

先程より細かく分けました

コまとめ (7).JPG

それでもまだ木型側に皺が残っていますよね




ではもう一回で、

コまとめ (8).JPG

これくらいになれば、木型側から皺は消せました

コまとめ (9).JPGコまとめ (10).JPG

どうでしょう?




それでも踵の方がまだ丸みが大きいですから

爪先に比べたら皺を抜いていきやすいのです






次は爪先ですね

コまとめ (11).JPG

まずはつま先も同様にまとめやすく均等に分けてしまいます



コまとめ (12).JPG

踵と同じように皺を細かく分けていきます



爪先は先が細ければ細いほど難易度が高く

まとめるのは大変です



コードバンは繊維が一方向に並んでいて

かつ、ぎん面がない一層の革です



まとめていく中で

何度も釘を打ったり抜いたりの繰り返し

何度もワニで引くの繰り返しをしていると


あるとき、ワニで引く力が加わった瞬間に


「一気に裂ける」


こんな胆を冷やす場面もかつては経験しております

繊維の方向に沿って釘穴が繋がって裂けちゃう時があるんですね




ですからいつまでも革をこねくり回してまとめていくわけにはいきません



革への負担は必要最小限に、を心がけて




コまとめ (13).JPG

ここまで来ればいいですね


コまとめ (14).JPGコまとめ (15).JPG

木型側の皺も抜けました





この靴はストームウエルトでのすくい縫いの予定です

その様子も近いうちに




担当 根岸
posted by sinando at 19:43| manufacture

2011年02月26日

革とゴム

革靴

といっても、使用している材料は革だけではありません。



特に底材に関して、ゴム系の材料は製造現場でもよく登場します。


ゴム材を希望される場合の目的としては

滑り止め、摩耗対策、雨水対策、等が主でしょうか。




ゴム材も進歩開発され、様々な特徴あるより良いものができていますね。



ですが、今日はゴム材の詳しい紹介ではなく


革とゴムを接着する工程を。



革とゴムを接着するという場面は

化粧がゴム化粧だったり、半ゴム化粧でも実は接着面は全面ゴムだったり

前半張りゴム、つま先修理のゴム、ミッドソールが革で本底がゴム材などなど


製品製造でも修理でもよく登場します。



革と革を貼り合わせるための接着剤でも

革とゴムを接着することはできますが

ゴム系接着剤という専用のものがありますのでそれを使っています。


革とゴム.JPG
ゴム系接着剤



このゴム系接着剤はこれだけで使用するのではなく

専用の硬化剤を混ぜ合わせて使います。


革とゴム (2).JPG
専用硬化剤



混ぜる割合は
かわとごむ.JPG
これぐらいの接着剤の量ですと硬化剤はほんの数滴



よくかき混ぜて使います



では作業していきましょう

って、貼りつけたい革とゴム双方にただ塗るだけですけど。


かわとごむ (2).JPG

かわとごむ (3).JPG

この接着剤、塗るのに使ったハケをシンナー系のもので洗ってもダメなんです。


不思議?


ですので僕はいろいろ試した結果、指で塗ってます。

(真似しないでください、小笠原では誰もそんな風に塗ってませんから)



で塗ったものはしばらく置いておき

表面が九分ほど乾いた状態にします。

かわとごむ (4).JPG

かわとごむ (5).JPG

これくらい乾いた状態で貼り合わせないと十分な接着効果が得られません。



おっと、貼り合わせる前には必ず双方の表面を温めます。

かわとごむ (6).JPG

かわとごむ (7).JPG


温かいうちに貼り合わせ、ハンマーで叩いてより密着させます。

かわとごむ (8).JPG



仕上げはこくり棒のお尻でグイグイと、わずかな隙間も押し付けて接着完了です。

かわとごむ (9).JPG



今回はゴム化粧でしたが、革とゴムの貼り合わせ

要領は一緒ですからね。



担当 根岸
posted by sinando at 11:48| manufacture

2011年02月18日

仕様書

靴屋にも仕様書なるものがあります


業種によって仕様書の形態は様々あるとおもいますが



靴屋の仕様書

いえ違いますね、社長の仕様書をちょっと拝借しました



内容としては


社長の手書きでデザイン画と、材料、作りの詳細が記載してあるものです


この方法は昔からやっていて、今もほぼ変わらない内容の仕様書です



社長はこれまで、お取引先との打ち合わせから

木型、デザイン、紙型、製甲、材料検討など

あらゆることを一人で兼務してきたのです



僕らは今それらを分担してやっているのになかなか追いつけないという






さて、社長が何かまたゴソゴソ動きまわっています

様子をうかがっていると


古そうな何か紙の束を捨てようとしてたのです



「社長、それなんですか?」


社長にとってはもう使わないただの古いものであっても

僕らにとっては貴重な資料だったのにってことがしょっちゅうなので

社長のゴソゴソをはじめた時は横目で目を光らせておかないと、なのです。



「これはむかーしのやつだから捨てようと思って。」

「あ、古い仕様書じゃないですか。」

「ダメですよ捨てちゃ、これはとっときましょう。」

「こんなもの?」

「はい。」





これが出てきた社長の手書き仕様書です
仕様書.JPG

社長の言うとおり何かに使うかと聞かれても

今、何かに使うわけじゃないですが

詳しく見てみると僕らにはヒントが詰まっているんですね


仕様書 (2).JPG

社長のデザイン画はどこかで勉強をして、というものではありません。

が、味わいがあって僕は好きです

この当時のものより、特に近年のものがなんとも良いんです




僕らは製靴学校時にでデザイン画の授業があって

より現物に近づけたものを描く勉強をしました



小笠原シューズで社長のデザイン画をはじめて見たとき

「おっ、。」

と感じてしまいましたので

現在、僕が描いているデザイン画は社長のを真似てます。








社長の仕様書で出来上がっていた当時の靴は

仕様書 (3).JPG
仕様書 (4).JPG
仕様書 (5).JPG

当時の写真でこのようになっておりました。








最後に、気がつかれました?
仕様書 (6).JPG

これ、47.6〜って記載

昭和47年6月〜ってことですね




僕が昭和47年8月生まれですから


僕がこの世に生まれる前から社長は小笠原シューズの社長だったんですね






この仕様書を描いた社長と今一緒に働いているとは

なんだか不思議なかんじがしました




担当 根岸
posted by sinando at 19:25| manufacture

2011年02月13日

板と板で

採寸板 (3).JPG
これ、何でしょう?



採寸板.JPG
この画像ならわかりますかね。



はい、これは僕が足型をとるときに使っている板です。




採寸板 (2).JPG
採寸板 (4).JPG
お客様にこの板の上に立っていただいて、足型をとり採寸をします。



僕の場合はお客様には立った状態でお願いしていますが


足型と採寸のとり方は靴屋によって様々で

座った状態もあれば

採寸に使う道具もみなそれぞれ工夫しているはずです。


足型とりと採寸はとても重要な基本となる記録ですから







とり方のことは今日は置いておきまして


僕が使っているこの採寸用の板
採寸板 (5).JPG
採寸板 (6).JPG

これ、自作です。

もう、なんとなくわかってたかもしれませんが。





もっと立派な足型をとる専用の台も販売はされているんですよ


ただ僕にはね、手が出せませんということで


ホームセンターに行ってそれらしく使えるものを作ったのであります。



材料費は5千円ちょっと位だったですかね






採寸板 (7).JPG
採寸板 (8).JPG
採寸板 (9).JPG

ご覧の通り、作ったといいましてもアルミの板と

本来は棚か何かに使うような黒いボードを

貼り合わせて四隅を固定しただけのことなのですが。




材料費の割に見栄えは立派なもんですよ、大いに活躍してくれてますし




ウン万円の台には全くかないませぬが

こんなのでよかったら試してみてくださいませ。



担当 根岸
posted by sinando at 16:12| manufacture

2011年02月10日

コードバンの経年変化

久しぶりにコードバンの靴が修理にやってきました


見てみたら、数年前に青木君が底付けを担当した靴。



しっかりお手入れされていて綺麗な状態です

修理する青木君も気持ちが良いでしょう



化粧交換の修理依頼でしたが

つま先ももうウエルトに達してしまう寸前まで減っていましたので

先パチ修理も追加した方がいいですね






コードバンはぎん面が無い革のため

ある程度はまめにお手入れをしてあげないと

表面がガサついた状態になってしまい

傷みやすくなったり見た目もよろしくないです





どんな革でもそうですが

最低限の正しいお手入れをしてあげないと

革の寿命を縮めてしまいます



いくら永く履ける優れた製法だといっても甲革が傷んでしまっては

底づけの製法なんて関係なくなってしまいますからね






こちらが修理依頼のコードバンの靴
コード修理.JPG
コード修理 (2).JPG
コード修理 (3).JPG
こちらのコードバンは新喜皮革さんのものです

画像ではとても赤く写ってしまいましたが

ワインというかバーガンディーというか

実物はその系の色です




コードバン独特の粘りのある光沢が増しています

なめらかな質感と独特の履き皺

やはり靴は履いてこそで

なんとも魅力的に変化していきますよね






お、経年変化のことになるとどうも口調が気持ち悪くなって


失礼しました






上質な革は正しくお手入れして使ってあげることで

それなりにちゃんとこたえてくれるものなのです

甲斐があるってやつですかね









こちらは底付けを待つ黒のコードバン
コード.JPG



コード (2).JPG
ご覧いただけるとおり

この状態ですと一旦は艶感が失われるのですが

底づけを完了し、仕上げることで艶感は戻ってきます



更に履くことで魅力的になって



この靴はストームウエルトで仕上げてみようかと企んでます



完成までしばらくお待ちくださいませ




担当 根岸
posted by sinando at 19:14| manufacture

2011年02月05日

紙型のこと

こいつに取り掛かるときはよほど勢いをつけないと重い腰が上がりませんでした。


The 紙型




靴屋になりたくてなったのに何を重い腰を上げるのがなんて言ってんの?


と怒られそうですが


紙型を裁つことに関してとても苦手意識がありました。




なぜか?




単純に、理解できていなかったということだけなのですが…




紙型は製靴学校時代に授業の中で勉強しました

勉強したことを使って紙型を裁ち、靴として何足も完成させることはできました


じゃあわかるんじゃないの?




白状しますと、授業で教わった方法を

自分の裁ちたい紙型に公式的にあてはめて

紙型を作っていただけ。




この回転軸はなんでここに設定するのか?

この作業は何のために必要なのか?

こういった類の疑問を解決できないまま過ごしてしまっていた

自分のせいです






小笠原シューズで働くようになっても

これまで僕自身は底付のこと、木型のことを担当



小笠原シューズで仕事をしている其々が

自分の仕事に責任をもって向上した上に

チームワークとしての小笠原シューズの靴が出来上がってきました




ただ、先を見据えて考えると

いつまでも解らないじゃあ過ごせませんから



取り組んでいます、紙型



お手本は社長の紙型



そうは言いましても小笠原シューズに入ってからは

少しずつ社長に聞きながら、真似ながら、そして同じことを何度も聞きながら

紙型を理解しようとしてきました



社長は

「自分の親方は教えてくれなかったから独学だよ」



確かに社長の紙型は独特です

製靴学校で教わったそれとは全く違います

が、一から独学で習得した紙型にはお手本たるもののすべて詰まっています





やはり自分で考えた上で失敗も成功も数を経験する、

この仕事の理解と上達法はこれのくり返しなのですね

特に注文靴の木型で紙型を裁つには紙型の理解が不可欠です



ここにきてやっと僕も

「おや、何となくらしきものが見え隠れ」






社長の紙型は

直伝で西川さんが学び

僕はイラストレーターを組み合わせていく方法を


今は2人がかりで取り組んでいます




とはいえ、まともな紙型を裁つには社長の何十倍も時間がかかってしまいますが






しばらくは寝不足の日々が続きますね


かみ.JPG


担当 根岸
posted by sinando at 17:36| manufacture

2011年01月29日

指力

底付けの仕事をしていると知らぬ間に鍛えられているがあります。


それは、左手の親指で何かを押さえつけるという力


僕の場合は右利きですので左手の親指となります





つり込みで繰り返される

押さえ.JPG押さえ (2).JPG
ワニで革を引き



押さえ (4).JPG
引いた革を左手の親指で押さえながら



押さえ (5).JPG
釘を打つ



これを毎日のように繰り返しているのですから指力もつくことでしょう




引いた革を指で押さえるといっても

親指の使い方のコツをつかんでくれば

さほど力まなくてもできるようになります




そして、コツをつかんだ頃には親指も完成形に変化しているでしょうから


人間の体って不思議で

毎日繰り返すことには変化か進化か知りませんが

自然と形を変えていきますもんね



押さえる.JPG
汚れてますがこんな親指です



大丈夫です、さすがに驚くような変化はありませんから



指先が硬くなって、爪が小さくなって、第二関節が大きくなっただけです





指先はいつもそこで革を押さえてますから

肉厚になって皮膚も厚くなって硬くなったのかな?




爪はちょっとずつちょっとずつはがれてくるんです

画像の爪も伸びてるんじゃなくてその位置まではがれちゃったんで

きっと負荷がかかるんでしょうね、でももうこれ以上ははがれませんから大丈夫




第二関節ははじめ結構痛みましたが

大きくなって頑丈になったのでしょうか?

今はまったく痛みません




人間の体の神秘はこの辺までとしまして






押さえ (6).JPG押さえ (7).JPG
つり込みはこういう作業を繰り返すことで靴を形作っていきます







きっと、僕ら靴屋は左手の指相撲は強いんじゃないかなぁ


担当 根岸
posted by sinando at 14:23| manufacture

2011年01月26日

怪力ではないのですが

抜き棒.JPG
折ってしまいました…



こんな鉄の棒

人の力では折れないものだろうと




完成した靴から木型を抜くための台?装置?器具?があるのですが

それの先っちょに、差し込んである大事な棒なのです


それを折ってしまいました






抜き棒 (2).JPG
これがそれです


小笠原シューズでは甲切木型と中折れ木型を使っています

普段は中折れ木型を主に使用していますが

これは中折れ木型を抜く専用のものです



現在は仮の棒を差し込んであるのでバランスがおかしいですが

本来、先の細い棒は専用のもっと短いものでなくてはなりません





使い方を足入れサンプルの靴で再現してみますが
抜き棒 (3).JPG
このように木型の後部に空いている穴に棒部を差し込み

梃の要領でうまく力を加えて木型を折ります

抜き棒 (4).JPG
すると、踵が抜けて

あとは靴をスライドさせることで木型を抜くことができます

抜き棒 (5).JPG抜き棒 (6).JPG

この、木型を折って踵を抜くという時にいちばん

靴と、木型を抜こうとする人間の体に負荷がかかるのです


で、その時棒を折ってしまいました


勢いで膝も強打



一瞬、何が起こったか理解できませんでしたです


ただ、救いはその時の靴が無傷だったこと


この時点で靴に傷でもつけてたら全部パーですから




社長に謝りました、大事な棒を折ってしまいましたと


そして改めて木型を抜くときの体の使い方と

力をどういう支点でかけるのか教わりました


コツをつかまないとただの力の無駄遣いで腰を痛めるぞと



精進いたします






ついでと言っては何ですが

甲切り木型の場合も簡単に再現しますかね

抜き棒 (7).JPG
甲切り木型は文字通り甲の部分を切ってあるだけの

真ん中から折れたりしない木型です


ですから、更に難易度UPでしょうか



抜き棒 (8).JPG
木型の後部をハンマーでたたくと



次第に切ってある甲の部分が浮いてきます
抜き棒 (9).JPG
叩くことをしばらく続けると固定部分から完全に外れてきますので


抜き棒 (10).JPG
簡単に甲部は取り外せます




抜き棒 (11).JPG
こちらは甲切り木型を抜く専用の道具



抜き棒 (12).JPG
先の細くカギになっているいる部分を

中折れ木型とは違い横に空いている穴に差し込みます



反対側のT字になっている部分を足で踏んで固定し

要は木型を引き抜く


これがまた、靴にとっても抜こうとする人間にとってもしんどい作業


抜き棒 (13).JPG




いずれにしましても完成した靴から木型を抜く作業というものは

誰もが唸りながら顔を真っ赤にしてやっているのは間違いないのです





担当 根岸
posted by sinando at 18:35| manufacture

2011年01月22日

あわせモカ

さて、モカ縫いの名称っていろいろあるんですね。


こう縫ったらこう呼ばれて

こちらではこう呼んでたけどあちらではああ言ってたと


何、結局同じものだ。



ということがありますので

今回紹介しますモカ縫いはよそでは何と呼ばれているかわかりませんが

社長が

「ああ、これはあわせモカな。」

とおっしゃったので小笠原シューズではあわせモカでいきます。






まずは完成図
△ (8).JPG
これがあわせモカ(これは仮縫いの製甲です)



こちらはモカとモカの下にくる部分の

裁断面をあわせて縫い上げることでこの形を作ります


だから、あわせモカと呼んでいたようです




其々の裁断面はピタリと合わせられるように斜めに裁断します


その裁断面に仮止めのノリを塗って貼り合わせることで


まずはモカを形作ってしまいます




そうしてできた仮止め状のモカを木型に仮づりして


モカ縫いを施していきます





ではいつものように西川さんの実演で見ていきましょう

△.JPG
モカ縫い用の針で穴をあけながら


△ (2).JPG
右手はモカ縫い針を抜きつつ、左手でその穴に縫い糸のついた金針を差し込む


△ (3).JPG
あやをかけて


△ (4).JPG
縫っていきます


△ (5).JPG
一目一目、絶妙の力加減で締めながら綺麗な形を作っていきます




本当はもっと近づいて手元が撮れたらわかりやすいのですが


今回は仮縫い用の製甲とはいえ

集中している仕事のお邪魔になりますし


何より、なに勝手に撮ってんだオーラがびんびんと



これ以上の接近撮影は身の危険を感じたため今回ばかりは断念いたしました

懲りずにまたチャレンジいたします





あわせモカ、このような仕上がりです
△ (7).JPG△ (9).JPG
これは革自体に厚みがありましたのでモカ縫いすることでこの形状になりましたが


薄手の革であわせモカを縫う場合は裏に補強をしないと

ぺったんこになって貧相なあわせモカになってしまいます




ちなみに今回のこれ、西川さん何の当たりもつけず目算で縫い上げていました




本人は「ダメだ。」なんて言っていましたが

本縫いにはコンディションを整え集中力を高めて

ピタリとあわせてくるはず



ええ、奴はそういう奴です



担当 根岸
posted by sinando at 12:35| manufacture

2011年01月19日

麻糸

手製靴の製造には欠かせない糸。


麻糸


今回、麻糸のことを書こうかと

ちらっと麻糸について調べてみたのです。



普段あたり前のように使っている麻糸なのですが


おお、はじめて知ることばかりで勉強になりました。




麻糸の原料となる麻には20種以上の種類があり、

衣料用に使われるものは主に2種の


苧麻(ちょま) ramie(ラミー)

亜麻(あ ま) linen(リネン)


です。



苧麻は天然繊維の中で最も強度があり、

亜麻はそれに次ぐ強度だが繊維は細くしなやかで綿に近いとのことでした。




「なるほどねぇ、だから靴に使うのね」と合点がいきました。


麻糸についてさらに詳しく知りたい方はご自身でお願いいたします。






では、いつも使っている麻糸はどんなだということで
麻糸.JPG
これは日本製の麻糸の単糸


これを縒ってすくい縫いや出し縫いの糸を作っています


こちらはRAMIEって書いてますから

苧麻(ちょま)でできているということですね

天然繊維界最強でございますと






参考としてですが

こちらは製靴学校時代に学校から購入した麻糸
麻糸 (2).JPG
北アイルランド製ですね

こちらも単糸ですが日本製よりも細いです

Linenと記載されていますから亜麻が原料でしょう


なぜ瓶に入れているのかといいますと

糸が残り少なくなるとまとめてあった形が維持できなくなって

絡みやすくなってしまうのです

蓋の先から糸を出しておくとそれが防げます

理由を上手く説明できてませんが

何かしっかりした入れ物に入れて糸先だけ出して使う




こちらは底材屋さんにイタリアで買ってきてもらった麻糸
麻糸 (3).JPG
こちらも単糸ですけど太さは日本製と北アイルランド製の中間ですね

LINO100%と記載されていますのでこちらも亜麻が原料かと









小笠原シューズでは

確実に手に入り、使い勝手も品質も素晴らしい

TOSCO社の橋印 麻糸 MADE IN JAPAN

です




単糸だけでなく縒ってあるものも買うことができます
麻糸 (4).JPG
4、5、6、9本縒り、他にもあったはずです

こちらはマッケイミシンなどの機械縫いで使ったりします





ちなみに麻糸の単糸は切る際に刃物は必要ありません

単糸といえども縒ってある状態なので

縒りを戻してやれば細い繊維状になり簡単に切ることができます


麻糸 (5).JPG
単糸を腿の上で縒りとは逆方向に回転させて


麻糸 (6).JPG
縒りがとけた頃合いで


麻糸 (7).JPG
ゆっくり引いてやると


麻糸 (8).JPG
糸先ができつつ切ることができます





縒りには決まった方向があって

縫い糸を作るとき間違って逆に縒るとひどい糸が出来上がりますので

お間違えないようご注意を





担当 根岸
posted by sinando at 19:12| manufacture

2011年01月15日

型入れ

革というものは元々は動物の皮膚です


立体の皮から鞣という過程を経て平面の革になり


その平面の革をまた立体に加工することで靴になります





立体 ⇒ 平面 ⇒ 立体


このように文字にするとなんだか無理を感じてしまいますが


その無理を幾ばくか軽減することができるのは紙型であり型入れなのです





型入れとは一枚の大きな革から

靴に必要なパーツをどのように切りだすか

それを決めていく作業です



革は鞣という過程を経ても皮の特性を残しています


型入れによってその特性を活かすことで靴はできあがるのですが


活かせるようになるにはやはり経験が必要です





皮に起きたことは革になっても消えません

キズや虫食いの跡
かたいれ.JPG

血筋と呼ばれる血管の跡や
かたいれ (3).JPG

トラと呼ばれる皺の跡
かたいれ (2).JPG

これらを見逃さないため自然光の入る部屋で作業は行います


靴にするには嫌われる部分なのですが


悲しいかな僕らが使っている自然の風合いを活かした革であればある程これらは現れてしまうのです




極力、こういった部分は避けることになります





そして、革には場所によって伸びる方向というものがあり

これを加味し型入れすることで

つり込み時の革への負担が軽くなり

かつ木型に添った靴ができることになります






とても重要な型入れ




現在は社長がすべて型入れしています


が、僕らは経験して継承していかなければなりません






本日、

「これやってみな」って


型入れ.JPG

型入れ (2).JPG

型入れ (3).JPG

頭悩ませながら挑んでいました






だいじょうぶですよ、これ仮縫いの型入れですから


担当 根岸
posted by sinando at 14:40| manufacture

2011年01月08日

「平らにすくえ」と

では本日より通常の記事でまいります。




すくい縫いで気をつけなければならない点で



社長や奥山さんによく言われてきたこと



「平らにすくえ」




はじめは「平らって?」という感じでしたが


要はすくい縫いしたウエルトが横から見ても上から見ても波打つような状態ではダメですよ


ってことなのです。






でも実は、この「平らに」という言葉にすくい縫いのすべてが詰まっていたのです。





最初の頃は、わげさで固定してすくい縫いをすること自体に慣れていないわけで


「平らに」すくえる様になるまでには結構な期間が必要でした。







すくい縫いをしていると必ず社長の気配が


時に背後に、時に横に、時に前にと


じーっと見てるんですよ、縫っている手元を。



こっちは固まって顔上げられないんですよね




これを乗り越えて平常心で作業できるようにならないと

小笠原シューズではやっていけないんですねぇ


大袈裟ですけど嘘でもないんですよ。 







すくい縫い (3).JPG
九分仕立てのすくい縫いが完了した状態です


この時は8mmピッチほどで縫っています。(ピッチは材料に合わせて変えています)



すくい縫い.JPGすくい縫い (2).JPG
余分な甲革を掃除しまして




返しますと
すくい縫い (4).JPG

「おいおい、そっくり返ってて全然平らじゃねえじゃねえか!」




なるんです、この材料は一旦こうなるんです



また返しまして
すくい縫い (5).JPG
ちょっとウエルトを濡らしてハンマーで叩いてやります



すくい縫い (6).JPG
で、こくり棒で全体を起こしてやりますと



すくい縫い (9).JPGすくい縫い (10).JPG

すくい縫い (7).JPGすくい縫い (11).JPG






すくい針で縫う高さが一針一針違ったり、

ピッチが乱れていたり、

すくいの糸の引きが甘かったり

と、諸々の悪要素があると平らにはならないのです。






だから「平らにすくえ」なのです。






すくい縫いの良し悪しはオールソールの修理でバラした時に如実にわかります



オールソールの修理になるまで履きこんだ靴でもバラした時

きちっとしたすくい縫いはウエルトが緩みなくしっかり固定されていますから






基本的なことがきちっと出来ている


まだまだ社長の目が光っています


担当 根岸
posted by sinando at 17:25| manufacture

2010年12月25日

いちきり

今朝は格別冷えましたねぇ。


夏は暑く冬は寒い、季節の移ろいを肌で敏感に感じとることができる構造の

ここ小笠原シューズ。



このところ朝は手が悴んでしまって

電熱器で手をあぶるというアイドリング状態から作業を始めないと、ですね。




それはさておき、物作りでの指先の感覚というものはとても大事だと感じます。




靴作りにおいても指先の微妙な感覚が仕事の上がりを左右する工程が多々あります。


今日はその中でも市切りで裏革をさらうをご紹介。




これが市切りという道具です
いちきり.JPGいちきり (2).JPG
これは製甲で使う道具なのですが


先がVの字状に割れていて
いちきり (3).JPG
Vの中心についている刃で裏革をさらいます。


切れ味が重要ですから、もちろんこれも砥がないと。








ではどこの部分をさらうのかと言いますと


履き口。





いちきり (4).JPGいちきり (5).JPG
通常、このように裏革が少し甲革よりもはみ出る様に紙型を裁ってあるので


甲革と裏革をミシンで縫いつけた後に


はみ出ている余分な裏革をさらう必要があります。






どうやるのか見ていきましょう。

いちきり (6).JPG
ほう、裏側からいくんですね。

久々登場の西川さん。




いちきり (7).JPG
ここからは指先の感覚で

余分な裏革に絶妙なテンションをかけながら

縫い上げたミシン糸ギリギリをさらっていきます。



いちきり (8).JPG
僕らも製靴学校時に製甲はかじってますから

この市切り使いで履き口を美しくあげるという難しさ



下手にミシン糸に近づきすぎると糸を傷つけてしまいますし

かといって離れすぎるとさらいきれなかった裏革がみっともない



躊躇せずなるべく止まらずに進めないと

裏革の切り口が美しくならないのです。



目と指先の感覚がものをいう

いちきり (9).JPGいちきり (10).JPGいちきり (11).JPG
おー、流れるようにいきますなぁ。



いちきり (12).JPG
こんな態勢でね、さらっているのです。





はい、できました
いちきり (13).JPG


履き口、綺麗ですね
いちきり (14).JPG


これ仮縫い用ですから、甲革も裏革も状態が良くない部分使ってるんです



作業としてはやりにくかったはずなんですけど






「ムムム、西川女史!」 


「さてはお主、さらにやりますなぁ。」






担当 根岸
posted by sinando at 13:46| manufacture

2010年12月23日

フマズオパンケ

これは何かの呪文なのでしょうか?



ある時期僕を苦しめた呪文のような言葉


「フマズオパンケ・フマズオパンケ・フマズオパンケ・・・」






実際は


「ふまずオパンケの靴を作りなさい。」


でしたが。




靴の製法でオパンケ製法といわれるものがあります。


説明が言葉では難しくて、かといって画像もないので



ごめんなさい



まくりあげた底材(船底のようにと表現されたり)と甲革を直接縫いつけたつくり


靴の周りを一周ぐるりと南京針で縫い上げる


僕の浅い知識ではこれぐらいしか説明できないのです。






この程度の人間の僕は不意に

「フマズオパンケ」

という呪文をかけらけ一時苦しみました。





「やったことないですよう、オパンケなんて。」

「ふまずだけでいいったってえ、僕がやるんですかあ。」

「・・・。」




「わかりました、とりあえず考えてやってみます。」




そりゃ、何でも経験ですからぁ覚えて損はないですからぁ。





ということで、街に出かけてふまずをオパンケ縫いしている靴を研究です。




「おお@なるほどね構造はこんな感じなのだなぁ*$#&%」


わかったようなわかんないようなで試作にとりかかり。




えー、ご依頼主の仕上がりイメージといたしましては

軽やかな底周りで、よそとは一味違った内ふまずオパンケ仕様のスリッポン




僕の試作第一号の仕上がりは

重厚な底周りに、よそとはある意味一味違った屈強な内ふまずオバンゲ仕様のズリッ凡




当然試作を重ねることになりまして、底材屋さんのご協力等もいただき

なんとかOKまでこぎつけました。



で数年前、既成靴のスリッポンとして市場へ。







そしてこの年末押し迫る中、忘れた頃に修理第1号が僕の元に


オパ.JPGオパ (2).JPG
これですね、内ふまずだけオパンケ縫いを施しました。


南京針でひと針ずつ縫い上げます



オパンケ縫いで全周縫い上げてる靴もありますもんね、あれはすごいなあ






因みによそとの違いはミッドソールにオパンケ縫いをするのではなく、

本底自体にふまず縫いのふくらみをもたせオパンケ縫いをしていること。

この方法だと本底1枚だけですので軽やかに上げることができます。


でも本底にオパンケ縫いを施しているため、

修理ではオールソールが難しくなり前半張りゴムで修理することになります。


結果、修理後はよそと同じ構造のふまずオパンケになりますけどね。




オパ (3).JPGオパ (4).JPG
半張りゴムを貼る部分を綺麗に整えまして


オパ (5).JPGオパ (6).JPG
貼りました




オパ (7).JPG
余計な部分はカットして


コバ周り、底面を仕上げ直ししたら完成です。






先程、オパンケ縫いで検索してみたら

何、

オパンケ縫い用のミシンてあるんですね。



あらら。





担当 根岸
posted by sinando at 17:05| manufacture

2010年12月12日

革化粧に化粧釘

化粧(トップリフト)と呼ばれているヒールの接地パーツ


OEMでの既成靴はビブラム社の全ゴム化粧が標準仕様と指定されているのですが

時に半ゴム化粧や革化粧でと、ご注文をいただくことがあります。


ちょうど革化粧のご依頼がありましたので、その仕事風景を。




革化粧の作業は特に硬く仕上げられた化粧用の革を切り出すところから始まります。
か化粧.JPG
ご覧の通り厚くて硬い革

ここから化粧に必要な大きさを切り出します



か化粧 (2).JPG
これで1足分、粗裁ちの状態です




粗裁ちした化粧をヒール(積上げ)の上に貼り付け、形も綺麗に整えるところまで終えました
革化粧.JPG
では、ここから化粧釘を打っていきます


化粧釘は特に指定のない場合、自由な並びで打たせてもらってます

今回は革化粧なのですり減りやすい部分は化粧釘2列でと決めました。

銀ペンで化粧釘を打ち込むアタリをつけて


革化粧 (2).JPG
一本一本の位置も目打ちで決めてしまいます


よし、今回はこんな感じで




化粧釘の打ち方並べ方って、考え過ぎると迷子になります


「おおっ、これカッコ良く打ってんなぁ!」


って他所の靴を見て目から鱗なことありますもん






いまのところ僕の場合は

「おっ、今回はどうなんですかっ。今回こそカッコ良く出来たんですかっ。」

こそって何だ。」

と毎回のように青木君にいじられる始末ですので






作業に戻りましょう
革化粧 (3).JPG
革化粧のギンをガラスでかきまして

革化粧 (4).JPG
先にギンをかいておかないと

化粧釘を打ちこんだ後ではなかなか綺麗にできませんので



革化粧 (5).JPG
アタリ通りに化粧釘を打っていきます

化粧釘の頭をカットする方法もありますが

今回は頭をそのままで



革化粧 (6).JPG
全て打ち込みました




さあ、ここからが割と大変な作業になります

革に釘を打ち込んでいますので、

どうしても革と釘の表面がボコボコしてしまいます(画像でもわかるでしょうか)



それをヤスリで平らに均さなければ綺麗に仕上がりません


革化粧 (7).JPG
大ヤスリでやってたこともありますが


刃ヤスリで仕上げていった方が綺麗だと社長に教わりましたので


それ以来、時間はかかりますが刃ヤスリでやってます



革化粧 (8).JPG
どうでしょう?

革も釘の頭も平らに一体化できたでしょうか。


ここまでできたら後はペーパーで更に綺麗に整えまして


お好みで着色、額縁仕上げなんかで完成です。







あ、完成した画像ですね

次回のOEM8の中で紹介いたします。



担当 根岸

posted by sinando at 16:46| manufacture

2010年12月09日

脱皮の様な

少し前の記事で製造中の靴を汚さないための

ラッピングについて書きました。


ではあのビニール、被せたはいいがどう取り除くのか?



ビニールはすくい縫いの時、ウエルトと一緒に縫っていますので


甲革とウエルトに挟まれた状態で縫いつけられています。


ですから単に力づくで引っ張って取ろうとしてもキレイには取り除くことができません。





またここに完成した靴を見ただけでは知り得ない


人知れずなひと手間が。





「大袈裟。」






ちょうど、スエードの甲革で九分仕立ての靴を製造しましたので

今日はビニールを取り除く作業を。


ラップ処理.JPG
このように、完成するまでしっかり汚れから靴をガードしてくれました。


あとはこのビニールを取り除いて完成です。




ここで使う道具は
ラップ処理 (2).JPG
これ、ご覧の通り出し縫いに使う出し針なのですが


針先が折れてしまったものを

針先を砥ぎ直してビニール剥ぎ専用の道具にしました。




先は出し針ほど鋭く砥いでありませんがビニールを切っていくには十分です。




では、
ラップ処理 (3).JPG
少しビニールを引いて力を加えながら



ラップ処理 (4).JPG
慎重にウエルトと甲革のきわを傷つけない角度で切っていきます

ビニールが薄いのでほとんど力が要りませんが。





それでもたまに、糸状に切れ残ってしまったビニールは


細い目打ちでウエルトと甲革の奥に押し込んでやると無くなっちゃいます。



最後の工程ですからここでしくじるわけにいきません。





徐々に姿を現してきました
ラップ処理 (5).JPG




こちらの完成品は近日、OEM8で紹介いたします。




担当 根岸
posted by sinando at 19:16| manufacture

2010年12月05日

クリッピング

「いやー、これは無理だな。引けないわ。」

って、社長の一言から始まったクリッピングの作業。



注文靴でジョッパーブーツのご注文をいただいております。


実はジョッパーブーツの製造は小笠原シューズとして初のこころみ。


甲部分にハギのあるブーツはこれまでも製造しておりましたが、

ご依頼のジョッパーは甲部分が一枚革。



そこで必要になってくるのがクリッピングという工程



クリッピングの方法自体は知っていたのですが、これがなかなかどうして

1.5mm以上あるカーフを相手取って挑むとなると、さすがの社長も


冒頭の一言です。



「僕もやってみます。」


力づくなら、まだまだ若手意識の僕ですからね。



えー、かれこれ15分位格闘しましたか


「何これ、全然引けない…。」




今回、僕らが挑んだクリッピングとは

くりっぷ.JPG
水や柔軟剤などで加工しやすくした革を

このようなクリッピング用の板に

ワニで引きながら添わせていく作業です。



ただし、この板は木型屋さんで以前購入した出来合いのもの



今回は注文靴なのでこの板もお客様の足に合わせて加工しなければなりません
くりっぷ (2).JPG
こちらが仮縫いを重ねた上で、立ち上がり角度も最終段階になってきた

お客様専用のクリッピング板




あっ、なんだカーブが緩くなってんじゃん


って言いましたか。




ですよ、ですけどこれだってやっってみたらすんごいんですから。




で、我々の最終的な判断としまして

どうやらクリッピングを専門に加工していただけるところがあると。



「では一度お願いしてみようか。」
「では一度お願いしてみましょうか。」



クリッピング屋さんは

僕らみたいな板を使ってえっちらおっちらやる原始的な方法ではなく

専用の機械をお持ちであっという間に仕上げてしまうのです。


くりっぷ (3).JPG
やはり専門家ですね



ここまでやっていただけたら


角度や細かい皺などを取り除く微調整は

僕の能力でも、お客様専用の板に添わせることで簡単に解消することができました。

くりっぷ (4).JPG




やはり経験してみないとわからないことばかりですね。

いやーまた勉強になりました、ありがとうございます。








一言、

ライニングに関しては僕の能力だって

初めっからクリッピングの板に添わせること出来てましたよ


決して負け惜しみじゃないぞ 担当 根岸
posted by sinando at 14:12| manufacture

2010年12月01日

万能選手

ちょっとタイトルが大袈裟ですが

手製靴製造の過程であらゆる場面で重宝がられて登場してくる存在があります。


「ふのり」選手



ふのりは海藻の一種です。

靴製造で使っているものは「板ふのり」といって、

水洗いされ塩抜きしたふのりを天日乾燥し、漂白して板状に加工されたものです。

もちろん天然素材。



ふのりは「糊剤」として昔から使われていて、靴屋だけでなく

織物、染物、建築、などなど実は物作りの現場では欠かせない存在なのだそうです。


さらに素晴らしいのは、食べても美味しい海藻。



僕らの使っている糊剤としての「板ふのり」は食べちゃダメですよ。


食用は食用で、専用のもっと美味しいのありますから。




きっとあなたも、知らぬ間にふのりと関わっているのではないでしょうか?






では靴の現場での使い方ですが、

まずは、板ふのりを糊状に加工しなければなりません。


フのり.JPG
これが板ふのり



これを必要な分だけ切りまして
フのり (2).JPG
分量は用途でまちまちです

鍋に投入



フのり (3).JPG
適量の水を加えまして(水の量で濃度は調整)




電熱器にかけます
フのり (4).JPG
沸くまで暫しお待ちを




ではこの隙にふのりの弱点を。


ふのりは天然素材の海藻であるがゆえ、

糊状にしたふのりをそのままほっとくと腐ります。


ええ、それはそれはかなりの悪臭を放ちます。



其々が使い切りの分だけ作ればいいのですが、

そうもいかない事情もあったりなかったりで…。




そんなときのために僕は、代用品としてこれを常備しております。

cmc.JPG
CMC

中身は白い粉


簡単に言うと「合成ふのり」ですかね。



作り方も簡単
cmc (2).JPG
適量のCMCを瓶に入れ、適量の水を注ぎ一晩置くだけ。



すると
cmc (3).JPGcmc (4).JPG
こんな状態になります


これは常温でほっておいてもまったく腐りません。


ふのりと同じように使えて、ササっと少量欲しいってときにはこれ便利。




ふのりの使い方説明してなかったですね。

靴製造の現場では


本底の表面を綺麗に仕上げたり
hunori.JPG


ぎん面がデリケートな甲革にマスキングテープを貼らなければならないような場面で、

ぎん面の保護のために塗ったり


奥山さんはマスキング用に使う和紙に塗って強度を高めたり


この他でもちょいちょいいろんな場面で応用して使ってます。





お、そろそろ先程のふのりが煮えました
フのり (5).JPG



くれぐれもこれは食べちゃダメですから。





担当 根岸
posted by sinando at 19:58| manufacture

2010年11月28日

slip-on

OEMの注文靴でローファーの依頼が。


こちらのお客様はこれまでに何足かご注文をいただいておりましたが、

今回はローファーということで新たにslip-on用の木型を起こすことになりました。



これまでいくらお客様の足に合わせ調整を重ねてきた短靴用の木型でも

slip-onタイプの靴は、その木型そのままで作るということはできません。


もし、そのまま作ってしまうと必ず緩く、靴の中で足が前後したり踵が抜けたりで散々なことになってしまいます。





slip-onはそれ独特の木型の調整が必要です。




まずslip-onタイプの靴は、紐などで調節が可能な短靴と違い

足を覆っている部分がかなり少なくなっています。

その限られた範囲で靴の中の足を上手く固定しなければなりません。
(固定という表現があっているかわかりませんがそんなイメージです)



履き口も大きく開いていますのでふまずから踵部にかけてもしっかり調整できていないと、

踵がついてこないもしくは抜けるという状態になってしまいます。



ヒールの高さも調整に関わってくることがあります。





以上のようなこと、木型を製作する人間はたいがい頭の中で理屈はできています。


ですが、こちらのおもいとは裏腹に生身の人間の足です、

なかなか理屈通りにいかないのが注文靴なんですよねぇ。








生意気にも自分なりに考えた理屈を社長にぶつけたりすることがあります。


「そう考えてるんだったら、やってみな。」


社長にこれをいわれてやってみた時、僕は95%の確率で思い通りな結果は出せていません…。


社長はわかってるんですね、経験値が違いますもん。


「な、理屈通りにはいかないんだよ。」

「はい…。」



そんなやり取りを重ねながらの毎日です。






で、ご注文のローファーですが木型を起こしまして

今回は珍しく、紙型も僕が担当しました。

ローファ仮.JPG

こちらは仮縫いですので、ミシン縫いでモカを仕上げていますが

本縫いは手縫いの拝みモカの仕様です。

指定されたデザインバランスで紙型を裁ちました、納得いただければいいのですが。




さて、仮縫いの結果はどうなるでしょうか?




あーっ緊張するー。

担当 根岸
posted by sinando at 15:04| manufacture

2010年11月26日

マッケイ製法の中底

苦手な質問。



靴の製法で何が一番いいのか?



「この製法で決まり!」


なんて、答えはあるはずもなく


製法それぞれに一長一短の特徴があるわけで


履かれる方の目的や用途によって


「でしたら、この製法がより向いているかと。」


説明したりアドバイスは可能です、



あとはふまえて選び分けてもらえればそれが一番いいんですから。







ということで、今日は返りがよくスマートな仕上がりでおなじみのマッケイ製法の中底に注目。


小笠原シューズではマッケイ製法で括ったとしても

それこそ目的や用途によって数種の中底を使い分けています。


まずこちら
マッケ中底.JPG
一見、ただの革中底ですが


マッケ中底 (2).JPG
裏返すとふまずからかかとにかけて硬く圧縮された紙?で補強されています


マッケ中底 (3).JPG
返りの良さと仕上がりの華奢な雰囲気を重視して

革の厚みは2mmに設定されているので屈曲部より後ろは補強です





マッケ中底 (4).JPGマッケ中底 (5).JPG
これも革中底ですが先程より厚みがあり3mm弱です

こちらは革のみで補強はされていません、使い勝手が良いです





マッケ中底 (6).JPGマッケ中底 (7).JPG
こちらはもっと厚みがある日本の中底4.5mm

マッケイ製法でも仕上がりにボリューム感を出したい靴に使います





マッケ中底 (8).JPGマッケ中底 (9).JPG
これは袋モカ用の中底

ふまずからかかとにかけてしかありません

紙の補強にスチールシャンク付



袋モカなのでふまずより前は

逆づりによって袋状になったライニングが中底の役割も兼ねます






以上が通常OEM等で使っているマッケイ用の中底です。









では、συναντωで使うマッケイ用の中底は?


シナンドマッケ.JPGシナンドマッケ (2).JPG
あれ、これは


そうです、通常は九分や手製に使っているイタリアの中底。


せっかくのσυναντωですから、贅沢にマッケイ用にも使っていこうかと。



というのも、厚みのある中底を使った方がデザインサンプルとして雰囲気がしっくりくるものが中心ですので



マッケ中底 (10).JPG
日本の厚い中底よりも若干厚い設定です



もちろん華奢な靴にはそれに合ったものを使いますのでご心配なくです。









全然関係ないですが、気がつかれました?


Shoemaker pants 穿いてますよ。

どうです、もう作られました?


ただ注意してくださいよ、街穿きには向きませんからね。


担当 根岸
posted by sinando at 20:03| manufacture