2010年11月11日

ラッピング

製作中の靴は汚れをつけないために様々な方法で保護しています。

段階ごとで気の使い方は異なりますが


「お客様の元に納めるまでは絶対に汚すわけにはいきません。」

の、おもいです。







そんな保護方法のひとつを紹介します。


底付け担当がつり込み以降アッパーを汚さないために、の一例(すくい縫いの靴の場合)


これはどこでも手に入る普通のポリ袋
ラップ.JPG
商品名がスタンダードポリ袋って書いてありますからね

サイズは、ヨコ260×タテ380×厚み0.030mmと記載


この袋につり上がった靴を入れます

ラップ (2).JPG
お尻を袋の角に合わせるようにして



ラップ (3).JPG
頭の方をグーッと引いていきます


ラップ (4).JPG
頭の付近に袋が密着して皺がない状態までもっていきます


ラップ (5).JPG
破けてはダメですが若干袋が伸びるくらいまで


ラップ (6).JPG
その状態をキープしてつり込みの釘に袋を掛けます


ラップ (7).JPGラップ (8).JPGラップ (9).JPG
サイドも同様に引きながら密着させ

皺を抜いた状態で釘に掛けていきます


ラップ (10).JPG
全体に皺を抜くようにすると

自然にお尻の付近も密着しています


ラップ (11).JPG
裏返してこの余分な部分をカット


ラップ (12).JPG
表側の余分な部分もカット


口が開いたままでは意味がないので
ラップ (13).JPG
テープで留めます

この時もテープで引きながらなるべく袋の皺をとります


完成すると
ラップ (14).JPGラップ (15).JPGラップ (16).JPGラップ (17).JPGラップ (18).JPG
皺が残っているとこの後の作業もしづらいですし

袋の皺の跡が革に残ったりしますので気をつけて密着させます


以前、厚手のビニール袋を使ったことがあるのですが

革に残ったビニールの跡を取り除くのにとても苦労しました


で、薄いものに変えたのですが意外と丈夫で重宝しています




この袋を被せる方法の他にもテープのノリ移りの心配の無い革は
ラップ (19).JPG
この建築用のビニールのついたマスキングテープを使ったりしています




でも、どんなに注意して作業していても意外な落とし穴があったりして


「あーっ、やっちまったーっ」


なんて、

一瞬にして体が熱くなる経験、誰もがしてますけどね





担当 根岸
posted by sinando at 19:44| manufacture

2010年11月03日

便利モノ

この頃はめっきり朝晩寒くなってきましたねぇ。


この季節になるとそろそろ手に不快な痛みが生じます

皸(あかぎれ)



靴屋になった以上仕方がないのかもしれませんが

一日中革を触っている状態ですので手の脂分がどんどん抜けてしまいます

おそらく脂分は革に持っていかれているのでしょう



ハンドクリームを塗ると滑るし、塗ってもすぐ効果がなくなってしまうので作業中は使いません




あがぎれは製甲も底付けも関係なく悩まされてます

地味に痛いんですよね…



しょうがないので僕はこんな感じにあかぎれの上にテープを貼っています
テープ.JPG

この貼っているテープは別に医療用ではなく靴用



製甲の縫い割りの補強にしたり、のび止めなどに使うテープ
補強テープ.JPG
ナイロンの生地かな



こんな使い方は本来のものではないのですが便利ですので欠かせないのです




ついでに、道具の中では目立たないけど欠かせない便利モノってのをちょっと紹介します


まず
サンドペーパー.JPG
これは奥山さんが考えて使ってたのを真似た何でもペーパー

木端に布のサンドペーパーを巻いているだけですが万能に使えて便利



のりばけ.JPG
これは接着剤を塗るハケですが

先を丸く薄く加工することでどぶ伏せの時にうまくノリが塗れて便利



マイナス.JPG
普通のマイナスドライバー

修理などで靴をバラすときに欠かせません



引き棒.JPG
これは短くしたこくり棒に革を巻いたもの

製靴学校の時に先生が使ってたのを真似してます

こくり棒としてもすくい縫いの引き棒としても使えて便利



刷毛.JPG
この刷毛

何かのおまけでいただいたものですが作業中の靴をササっと綺麗にできて便利




指革.JPG指革 (2).JPG
これは指革

すくい縫いをするときに指にはめて作業します

手の皮は毎度の作業で厚くなっているのですが特に負荷のかかる指にははめないと



追い込み.JPG
これは追い込みという道具

ヒールの積み上げを最後スクリュー釘で止めるのですが

スクリュー釘の頭を積上げの革に少し潜らせるために使います


ハンマーで力一杯叩くので叩かれる部分が潰れてきています



定規.JPG
これは100円ショップで買ったプラスチックのノギスを短く切ったもの


このように使って
定規で.JPG
確認しながら左右合うようにつり込みます




粉.JPG
これはベビーパウダー

特に注文靴で、完成した靴から木型を抜きやすくするため

つり込みの時に木型と製甲の内側に軽くふっておきます



無印ロウ.JPG
これは無印の蝋

チャンを引いた麻糸の滑りを良くするのにちょうどいい(いろいろ試しましたが)



カーワックス.JPGカーワックス (2).JPG
これはカーワックスですが

本底の仕上げに艶出しに使ってます

昔っからこれ使ってるそうです、だから変えません





以上、靴製造の便利モノでした。




何かのお役にたつでしょうか?




担当 根岸
posted by sinando at 19:03| manufacture

2010年10月19日

Mani&Standards

前回の続きということではないのですが

昨今の国産靴道具事情といいますか、

昔から日本の靴製造の現場で使われてきた

made in japan の靴道具が手に入りにくくなっています。


靴の道具を作ることができる職人さんが後継者もないまま引退していってしまう


とても寂しいことなのですが、靴製造業の現場と同じように

技術があっても、後継者を育てたくても

人材を雇用することができないというのが

小笠原シューズも例外ではなく末端の現場の現実なのかもしれません。


僕らは厳しい状況ではありますが前向きに地道に続けていきます。






そんな made in japan の靴道具の世界にひとすじの光明です。


Mani&Standards
http://manista.blog40.fc2.com/


こちらの代表、実は製靴学校時代の同期なのです。

製靴学校卒業後、靴への携わり方は人其々あるのですが

一個人として靴道具に取り組んでいったのは

この人だけではないかと思います。


驚くのは、これまでの靴道具製造の常識とは

全く別の角度から素晴らしい道具を生み出しているということ。



自らの発想を軸に

時に靴職人の元に、

時に人間工学の専門家の元に、


使う人間の要望を加味した道具を自ら設計



靴の道具とは何の関係もない金属加工の企業や技術者に掛けあい

日本の金属加工の先端技術を用いて靴道具を生み出しているのです。


もちろん材質や機能美の研究も怠りません。

詳しくはぜひ Mani&Standards のホームページをご覧ください。




本当にこの人の発想と行動力には頭が下がります。





もちろん僕も使っていますが

こちらの道具を購入しているところは

靴工房、靴修理工房、製靴学校etc.

名立たるところが使っています。



今のところ道具の種類はまだ多くはありませんが

(この方、作るのが難しいであろう道具から取り掛かってるところがありますので)

開発中の道具も終盤まできている模様ですから

今後大いに期待しています。

mani (2).JPG



担当 根岸
posted by sinando at 20:00| manufacture

2010年10月16日

ワニだらけ

ワニという底付けに使う道具があります。

この道具はつり込みの時に使います。

見た目がワニに似ているから日本ではこう呼ばれているようです



靴の道具ではとても有名なので説明は簡単に


製甲を木型に添わせて靴の形にしていく過程で

革を掴んで、引っ張って、叩いて、

釘も打てちゃいますの道具


大ワニ、中ワニ、小ワニがあります



ワニがなきゃ、僕等のやっている手製靴は作れません


この道具、一本一本職人さんが作っているのですが

靴道具屋さんでも購入することが困難になってきています。

その代りに外国生産のものが入ってきてはいるようですが…




で、お得意の昔話になっちゃいますが

かつてはそれぞれの靴道具屋さんでワニを作るお抱えの職人さんがいたそうです。

ですので、ワニの形も様々あり

底付の職人さんは自分好みのワニを探したり、

誂えたりできたそうです



今の僕等はそんな選択肢がないので道具に合わせるしかないですが




ワニはそうそう使い潰すという道具ではないようです


手入れをしながら使えば何十年と使えます



現に奥山さんが使っているワニは

奥山さんが小僧の頃から使っているものもありますから
(今でもそれが一番使い良いそうです)



社長は製甲士なのですがワニも持っています

先代社長の使っていたものや、底付士が引退するときに譲り受けたものとか


どうやら社長は靴の道具も好きみたいで

何か目新しい道具を見つけるとつい買っちゃってる感じがあります

はい、気持ちはよーくわかります





こちらが社長所有の国産ワニです
ワニ(1).JPGワニ (61).JPG



それぞれ形が違いますよね
ワニ (2).JPGワニ (3).JPG
ワニ (41).JPGワニ (51).JPG



じつは社長が実際に使ってるワニは
ワニ (7).JPGワニ (8).JPG
外国製だったりしまして


右手の赤いほうで

製甲前の革の癖付けやブーツのクリッピングなどに使っています





こちらは奥山さんのワニ
ワニ (10).JPG

ワニ (11).JPGワニ (12).JPG
長いのは大ワニです

ワニ (13).JPGワニ (14).JPG
ボロボロの革が巻かれているのが小僧の頃からのワニ
(革は巻きなおすそうです)

ワニ (15).JPGワニ (16).JPG
奥山さんのワニは握りの部分も自分で角度を変えたりして

大がかりなチューンナップが施されています







「なんだよ、写真撮んならピカピカに手入れしたのに。」


「いいんです、この使ってる本物感がだいじなんですから。」



実際に奥山さんの道具はいつも手入れされててピカピカなんです

コテなんかは毎度のペーパーでの手入れで

ちょっと小振りになってますからね





あとはオマケです
ワニ (9).JPG
青木君のなぜか中ワニ2本

ワニ (17).JPG
根岸の中ワニと小ワニ






ある情報筋から

日本のワニの構造には

非常に高度な日本の加治屋さんの技術が使われているのだ

ということを教えてもらいました。




あーあ、またそういう技術が知らぬ間に消えていっちゃうんですね







情報筋の件は近いうちに詳細を…
担当 根岸
posted by sinando at 15:38| manufacture

2010年10月12日

九分仕立てのふまずの仕様

こうしたから履き心地が変化するということはないのですが

九分仕立てでこんなふまずの仕様もあります

ということで

συναντωの九分仕立てのふまず部分をご覧ください。




通常、九分仕立てといわれている靴は共通して

すくい縫いは手縫いで、出し縫いはステッチマシンでの機械縫いになります


出し縫い以降から仕上がりまでの工程はメーカーによって様々です


ですので、同じ九分仕立てといわれてる靴でも

店頭ではそれぞれ違った顔つきで並んでいますよね





小笠原シューズではコバも手作業で仕上げていますので

ちょっとしたアイディアと工夫で面白いこともできたりします


通常、
ふまずの.JPGふまずの (2).JPG
内フマズはこのように丸コバで

出し縫いに一目一目めつけをした仕様にしています


ふまずの (3).JPG
外フマズは角コバでの仕上げです



この通常のふまずの仕上げですと底面は
ふまずの (4).JPGふまずの (5).JPG
こんな感じに仕上がります

これに半カラスを施すとめりはりでふまずが幾分ほっそり見えます



もちろん靴のデザインに合わせてふまずの絞り具合は変えていますが





こちらは中底の設定と本底加工を工夫しまして
ふまずの (8).JPGふまずの (9).JPG
内フマズの丸コバをアッパーにくっつけ

出し縫いを隠してみました




せっかくですから外ふまずも
ふまずの (6).JPGふまずの (7).JPG
同様に




このふまずは機械縫いの出し縫いを隠していますので

中底の設定からすくい縫いの位置を工夫して

ステッチマシンで出し縫いを縫うことができる

ギリギリを探りました




このふまずですと底面は
ふまずの (10).JPGふまずの (11).JPG
ふまずの (12).JPGふまずの (13).JPG
こう仕上がります








あくまでちょっとした見た目の違いで履いた感じは変わりません、

底面は上からは見えませんし消耗していく部分ですので関心度は…






これらのほか全周角コバだったり、ハーフミッドやダブルソール

はたまたゴムソールなどなどできます




九分仕立ての靴もなかなか面白くありませんか?



といえるのも自社のステッチマシンで出し縫いを縫っているから

いろいろな工夫も可能なのですが



しかし、その大事なステッチマシンがこの頃調子が悪い
ふまずの (14).JPG
機械屋さんにも見放されてしまう程の年代物なので…


今は社長がつきっきりでお医者さんです。





担当 根岸
posted by sinando at 20:09| manufacture

2010年10月09日

型押しの革

まずはじめに、前回ビンテージスチールを購入できるところを…


に、情報をいただきましてありがとうございました。

本当にありがたかったです、助かりました。


で、早速購入いたしました、あわせてゴムソールも何種類か

まだ届いてはいませんが楽しみに待っているところです。






きょうは先日おこなった棚卸しで

型押し系の革がいろいろ出てきましたのでちょこっと紹介します。


いまいち型押しなのか揉み革なのかもともとなのか区別できてない部分もあるのですが…。



まず
型押し.JPG
これは30年以上前のニッピ製の革

型押し (2).JPG型押し (3).JPG
小判ですがしなやかで質のいい牛革です

こちらは結構枚数が残っていました



古い革は舶来、国内問わず平均して質が良いですね



型押し (4).JPG型押し (5).JPG
これは型押しではないですが、独特の大判のシボがあります

これも古いものですが、何の革か社長も忘れちゃったので詳細不明です



型押し (6).JPG型押し (7).JPG
これはかなり肉厚のカーフで、うすーく型押しされています

2.5o弱の厚みがありますがとてもしなやかです

これも古い舶来もの




タフなブーツなんかに良さそうですが、

タフなつり込みが要求されますね








型押し (8).JPG
こちらが型押し系グループ


タンナーはデュプイ、アノネイ、フラスキーニあたりです









συναντωの型押し靴サンプルです
kata (3).JPGkata (2).JPG

かたおし.JPGkata.JPG

製 法…ハンドソーンウェルテッド ミッドソール(九分仕立て)
サイズ…25p



甲 革…フランス  型押
裏 革…フランス
底 材…イタリア


紙 型…西川
製 甲…西川
底 付…根岸





型押しの靴を履いている人、

街であまり見かけないんですが人気ないのかなぁ



担当 根岸
posted by sinando at 15:17| manufacture

2010年10月05日

先パチ修理

きっとどんな靴でも踵(化粧)つま先部分

他の部分より先にすり減ってくるはずです。



踵(化粧)部分の修理、化粧交換は以前記事にしましたので

きょうは小笠原シューズで先パチ修理と呼んでいる

本底のつま先部分の修理についてです。



先パチ修理はマッケイ製法でもすくい縫いの靴でも行いますが

特にすくい縫いの靴はウエルトが傷む前に修理したいところです。




今回、先パチ修理する靴は昔にOEMで納めた

奥山さんの手製の靴です。






すり減りのひどい部分より少し大きめに包丁でならします
先ぱち.JPG先ぱち (2).JPG
この時、本底に砂や小石が潜んでいますので

修理専用の包丁を用意して使っています(必ず刃が傷みますので)



先ぱち (3).JPG
今回の先パチは「革で」ということですので

貼る部分より少し大きめに本底用の革ををカットして用意します


先ぱち (4).JPG先ぱち (5).JPG
貼る革を加工する為、厚みの目安を測っておきます



先ぱち (6).JPG
銀ペンコンパスであたりをつけ



先ぱち (7).JPG先ぱち (8).JPG
先パチ (2).JPG
漉き加工して、均しておきます



こちらも
先パチ.JPG



余計な部分に接着剤がつかないようにマスキングして
先パチ (3).JPG


先パチ (4).JPG
双方ノリを塗ります




ノリが程良く乾いたら貼り付けます



金板に靴を固定して
先パチ (5).JPG
金板



ハンマーでよく叩き着けます
先パチ (6).JPG




余分な革はカットして
先パチ (7).JPG





あとはコバを仕上げる要領で、ペーパーで綺麗にならし

色合わせを考慮したインクで着色し

蝋を入れ、磨き上げて完成です。



先パチ (8).JPG先パチ (9).JPG
先パチ (10).JPG先パチ (11).JPG


以上、根岸が担当しました




ところで、先パチ修理は革以外にも


先パチ (12).JPG
ゴムでもやっています




番外で
先パチ (13).JPG
スチールもあります






・・・が、探しています

いわゆるビンテージスチール

を購入できるところ、どなたかご存じないでしょうか?




担当 根岸
posted by sinando at 19:15| manufacture

2010年09月22日

Smoke gets in your eyes

以前にもチャンのことは書きましたが

今日はステッチマシン用の下糸づくりを紹介します。


九分仕立て用の出し縫いステッチマシンとマッケイ縫い用のマシン、

下糸自体は共用です。


ただボビンの大きさが違うので、それぞれ専用のものに下糸を巻いて用意しなければなりません。



下糸は機械縫い用の麻糸5本縒りを使い、

これを機械用に調合した熱々のチャンの中を潜らすという方法で

麻糸全体にチャンを浸透させています。




この機械用のチャンは

手縫いのときのチャンと油の調合率では具合が悪く

毎回探りながらでやっています。


一度にたくさん下糸を作っても

気温により下糸に浸透したチャンの状態が変わってしまいますから

季節の変わり目に下糸を作るのはよりやっかいです。






なのに、この時期に下糸のストックが終わってしまいました…




作業をしていると2階から独特のにおいがしてきます


「あっ、これは!」


社長のチャンづくり開始です



2階には更衣スペースがあり僕らの通勤用の私服も掛けてあります


チャンづくり時のにおいをご存知でしたらわかっていただけると思いますが


独特の強烈なにおいを発します


特に機械用のものは大量にチャンを煮ますので

自分の分だけ煮るってのとは破壊力が、ちがう



これが服に染み込むと帰りの電車の中でもにおってきちゃうのです



僕等はこのにおいの原因を分かってますけど、
チャンのにおいを嗅いだことのない人には…





ということで、私服はすぐに避難させたいと思います。






では、熱々に煮えたチャンの中に麻糸を潜らせていきましょう

煙.JPG
これは専用の鍋?です

2階でこの四角い鍋を直接コンロに掛けて煮ます


煙 (2).JPG
ご覧いただけますか?

糸が潜りまじめると、

そこからさらにブクブク泡と煙が発生してきます



さあ、巨大なボビンに巻いていきます
煙 (3).JPG


煙が凄い
煙 (4).JPG


もうこの時点で小笠原シューズ内は煙で真っ白

目はシバシバ、喉はゲホゲホ


出入口を開けて風を通すと


たまたま前を通りすがった人達が振り返ります




驚きますよね、ごめんなさい




だいぶ落ち着いてきましたね
煙 (5).JPG

何せこの作業はチャンが熱々でないといけないもんで

煙 (6).JPG

でも、これでしばらく大丈夫です







あー、煙が目にしみる


頭の中で誰かが歌ってませんか




担当 根岸



posted by sinando at 19:48| manufacture

2010年09月17日

裏ハトメ

裏ハトメ.JPG

この靴紐を通す穴(アイレット)、ただ単にポンチで穴をあけてあるだけではないんです。


皆さんも靴紐を通すときに裏側を見たことがあるかと思いますが、とくに気にして見る部分でもないですよね。



めくると
裏ハトメ (2).JPG
このように裏側を金属で補強してあります。



これは表からは見えないようになっていますので、裏ハトメといいます。


カジュアルな靴などで表に金属が見えているのは表ハトメといいます。




普段小笠原シューズで製造している靴は裏ハトメがほとんどです。

ですから、こんなにたくさんあります。
裏ハトメ (3).JPG


わかりやすく取り出しますと
裏ハトメ (4).JPG
一つ一つはこんな形をしています




これをポンチで裏革に開けた穴に一個一個差し込んでいくわけです。

裏ハトメ (5).JPG
ちょっとわかりにくいですが、手前の物が差し込んだだけの状態です


このままでは裏ハトメが穴に固定されていないので、菊割りという道具で




裏ハトメ (6).JPG
菊割り


文字通り、裏ハトメを菊の花のような形に割って穴に固定します。


裏ハトメ (7).JPG裏ハトメ (8).JPG
やり方は、ビニ板の上で裏ハトメを菊割りで垂直に叩き割る。




するとこうなります
裏ハトメ (9).JPG
なんとなく菊の花のように


反対側は
裏ハトメ (10).JPG
こんな状態に



このままですと、よく見ていただくと裏ハトメの裏側も表側も膨らんでいますよね。


これを平らに叩いて、靴紐を通しやすくベロにも傷をつけない状態にします。


裏ハトメ (11).JPG
金属の台の上で叩いて平らに


裏ハトメ (12).JPG裏ハトメ (13).JPG
どうですか?さっきと違いますよね





裏革をまとめて
裏ハトメ (14).JPG裏ハトメ (15).JPG
ベロは裏革に止める方法です

これは仮縫い用に作りましたので、裏革の革質はそれなりの革質ですのでご注意くださいませ。







ちなみに菊割りの画像ですが、本来菊割りは先が尖っています。

画像のものは西川さんの菊割りなのですが、先が平らに潰れていて…


本人曰く、

「間違って平らに叩く金属の台の上で使っちゃったからなっ。

でも先が尖ってない方がビニ板も傷まないし、うんうん結果オーライだっ。」


そういう人です。







怒られるかも 担当 根岸
posted by sinando at 19:17| manufacture

2010年09月07日

砥石を整えます

毎日の仕事の中で必ず行うこと、

革包丁を砥ぐ。



これをしないと靴は作れません。





小笠原シューズで働き始めて間もなく、僕の包丁は全く切れなくなりました。


切れ味が落ちたら包丁を砥ぐのは当たり前なのですが、

はい、ご想像の通り

僕の砥ぎ方が全くなっていませんでした。





小笠原シューズ初出勤の日、社長に革包丁用の天然砥石をいただきました。

天然砥石を使うのは初めてです。


製靴学校のときは合成砥石を使っていました、もちろん砥ぎ方も教わりました。



しかし、砥ぎ方は身についているはずもなく…。




当然の結果、砥いでも包丁が全く切れなくなりました。






恐る恐る社長に

「包丁が全く切れなくなってしまいました…。」



きっと社長は僕の砥ぎ方を見ていて、こうなることはわかっていたと思います。






革包丁を砥ぐことの話の詳しくはまたいずれということで。





きょうは砥石のことを。




小笠原シューズでは砥石は皆さん天然砥石を使っています。




もちろん各々探して買ってくるのですが、革包丁に適した40mm幅くらいのものは手に入りにくくなっています。



以前、社長に砥石屋さんを教わって浅草に買いにいきましたが、

その砥石屋さんはちょっと前に廃業されてました。




天然砥石は値段も様々で、見た目では選ぶのが難しいです。

実際購入して使ってみるまでどうなのか判らないという面もあり、何だか運まかせのくじ引きみたいですね。



僕が今使っているものは2代目の砥石です。


1代目は硬さもちょうど良くとても使いやすい砥石だったのですが、途中から天然砥石でみられる

層になって割れるという状態が出てきてしまいました。


だましだまし使っていましたが、とうとう手に負えず社長のもとへ里帰りです。





砥石は日々平らに整えながら使っているのですが、

僕の場合どうしても真ん中あたりが凹んできてしまいます。


ですので定期的に全体を平らにするということをしています。


砥石が平らでないと平らな刃がつきませんから。





社長に教わった整え方でやっています。

砥石.JPG
古いきやすりで平らになるまで削ります

ここでは砥石は乾いた状態です


砥石 (2).JPG
僕の場合は手前と奥を削り、平らに


砥石 (3).JPG
次は水で濡らして

名前がわからないのですが砥石をなおす為の粗い砥石で


砥石 (4).JPG
表面全体を整えていきます

砥石 (5).JPG砥石 (6).JPG
段々なめらかになってきます


砥石 (7).JPG
こんな感じで平らになったら


砥石 (8).JPG
名倉砥石でよりきれいに仕上げます



砥石 (9).JPG
はい、綺麗な状態になりました





包丁を砥ぐ時は名倉で
といし.JPG
ドロドロを作り

天然砥石で包丁を砥ぐ場合、このドロドロがとても大事なのです




なんて、わかったようなこと書いてますが

天然砥石を使い始めたころは何も知らずに

せっかくのこの大事なドロドロを、

いちいちティッシュで拭きとって


「包丁が砥げない、砥げない」


って悩んでましたから。







知らないって、恐ろしいです。

ちょっとの勇気だ、「聞きましょう」



担当 根岸
posted by sinando at 20:22| manufacture

2010年09月02日

つややかに

今年の暑さは汗男の僕には辛すぎます。


作業しているとあまりの暑さに、

「まさかエアコンから温風が出ているのではないか。」

と、錯覚を起こしエアコンに目を向けますが

冷風設定になってますが何か?表示を恨めしく確認するはめになります。



こんな暑いときには、

「より室温をあげるような作業はしたくないよう…」

と思ってみても

目の前には現実がありますので粛々と任務遂行です。





靴のコバやヒール、半カラスなどに艶を出すため蝋を入れるという作業があります


この作業で使う蝋というのは、靴のつや出し専用の蝋で

無色、黒、濃茶、たぶん赤茶

こんな感じで底まわりの色に合わせ使い分けています

ろう.JPG
たとえば黒



これらの蝋を熱したコテ、熱ゴテで底まわりに溶かし入れていきます


ここで必要な、電熱器でコテを熱すること
ロウ.JPG


電熱器は底付け担当は各々使いますので、

みんなが使えば、そりゃ室温もねぇ…






蝋の出番はインクで色を付けた後です

例えば今回は、黒のロウインクの場合です

ロウ (2).JPGロウ (3).JPG
ロウ (4).JPG

ロウインクを塗って乾かした状態です



そこに蝋を塗っていきます
ロウ (5).JPG
蝋は電熱器で軽く温めながら塗りつけていきます

ロウ (6).JPGロウ (7).JPG
多くても少なくても今後の作業が効率悪くなりますから、適量を見極めて



で、熱ゴテで溶かし入れていくのですが
ロウ (8).JPG
今度は熱ゴテの温度が重要

これが何℃かはわかりませんが、水につけてジュジューっとした状態です



「艶が悪いのはコテの温度が悪いんだよ」

って社長によく言われてました。

はい、今もたまには…     言われます。



特に黒をつややかに仕上げるのって難しいんです


まだまだ研究していかないといけません





ちょうどいい温度のうちに
ロウ (9).JPGロウ (10).JPG
熱ゴテで溶かしていきます



それぞれの熱ゴテで
ロウ (11).JPGロウ (12).JPG
ロウ (13).JPG
溶かし入れました



この後の作業は余分な蝋を拭きとって艶を出していくことになります


ちなみに完成したのはOEM5の画像、タッセルローファーです







「今、手製靴を製造するための材料や道具がどんどん姿を消していく」

という現実があります


今回の蝋も例外でなくもう製造されないそうです

ろう (2).JPG

今はストックがいくらかはありますが…










担当 根岸
posted by sinando at 19:54| manufacture

2010年08月26日

ちょっとしたフマズの修理

大がかりな修理ではないのですが、珍しく自社製品でない靴の修理をしました。


症状としてはこちら
フ修理.JPG

内フマズの部分だけ糸切れを起こして、ぱっくり口が開いてしまっている状態です。


ここだけ縫い直してあげればいいので作業としては簡単です。




まず切れている古い上糸を取り除き
フ修理 (2).JPG
目打ちで簡単に抜けました



次に下糸を抜きましょう

フ修理 (3).JPG
どぶ伏せしてありますので


いったんどぶを起こします
フ修理 (4).JPG
フ修理 (5).JPG
ノリも弱っていたので、こくり棒だけで簡単に起こせました



下糸を抜こうとしたのですが、糸自体が劣化していて簡単に切れてしまい抜けませんので
フ修理 (6).JPG
今回はこのまま残すことにしました




では縫い直しの出し糸を用意します

出し糸につける出し針として、イノシシの毛やナイロン製の専用の出し針を使ったりもしますが、今はもっぱら釣りに使うナイロン糸で代用しています。

ナイロン針.JPG


そのままではツルツルしてますので
ナイロン.JPG
麻糸をつける部分だけペーパーで荒らします

あと、切り口もペーパーで丸みをつけた方がスムーズに縫えます


ナイロン (2).JPG
こんな状態にします



出し糸用の麻糸ですが

麻糸.JPG
今回は元々縫ってある糸の太さに合わせて、単糸を3本縒りにしました

そして、元々の糸の色に合わせて先に染色しています



ナイロン針につけるため、糸先にチャンをつけます
麻糸 (2).JPG


ナイロン針のペーパーで荒らした部分にもチャンをつけまして
ナイロン麻糸.JPG



麻糸をナイロン針に巻き付けていきます
ナイロン麻糸 (2).JPG
隙間なく巻いていかないと、糸が外れ易くなってしまいます



出来ました
ナイロン麻糸 (3).JPG



内フマズだけの縫いなので
ふまず針.JPG
南京針を加工したフマズ針を使います




元々の穴を拾いながら
フ縫い.JPGフ縫い (2).JPG
フ縫い (3).JPG
縫っていきます




縫いあがりは
フ縫い (4).JPG
こんな感じで

この状態だとまだコバに段差があって汚いので



他の部分と違和感が無いように仕上げて
フ縫い (5).JPG
終了です




ちょっとしたフマズの修理です

お粗末さまでございました

担当 根岸
posted by sinando at 19:00| manufacture

2010年08月22日

復刻版?

前回の記事に関連して付け足しです。




映像として残された手製靴製造の工程。

その中で製造していた靴がこちらです

旧.JPG旧 (2).JPG

旧 (3).JPG

旧 (4).JPG旧 (5).JPG

旧 (6).JPG旧 (7).JPG

旧 (8).JPG

旧 (9).JPG旧 (10).JPG


30年以上前に製造されたものですが、しっかりとした技術で仕上げられていますので、いまだに歪みなどがありません。


未熟な技術で仕上げられた靴は長年置いておくと、靴全体に歪みや捻じれが起こってくると社長に教わりました。




この靴はOEMとして製造したもので、ずっと店頭に飾られていたようなのですが、

それを見たお客様から

「この靴のデザインと色コンビで同じように作ってほしい」

と、ご注文をいただきました。





で、そのご依頼で製作したものが、

OEM2の記事中の画像にある

624.JPG
この茶×白のコンビでした



もちろん当時のままの木型や革ではありませんので、お客様とのご相談のうえで若干の仕様の変更はあります。





と、こんな形で意図せず30年以上前の靴を復刻するような場面になりました。


小笠原シューズには何十年も前の木型や紙型や靴の白黒写真が残っています。



社長にとっては

「こんな古いものは…」

が、僕らにとっては

「初めて見る目新しいもの」

ってことがよくあります。





昔のものにちょっと手を加えて今のものに復刻する。

今度は意図的にやってみましょうか。





担当 根岸
posted by sinando at 18:18| manufacture

2010年08月13日

履き口の仕様

靴の履き口の仕様にはいくつか種類があります。



良く見かける仕様には

おりこ.JPGおりこ (2).JPG
折り込み


パイプ.JPGパイプ (2).JPG
パイピング

小笠原シューズではテープと呼んでいます


「これテープとっといて」なんて使います



はじめて聞く人には

「何のことやら?」ですよね


たまぶち.JPGたまぶち (2).JPG
ビーディング

小笠原シューズでは玉ぶちと呼んでいます

「これ玉ぶち入れといて」なんて使います


これはまあ、何となく伝わりますかね?








今回は玉ぶち仕様の紹介です



一見、革を3枚重ねてとても頑丈な靴に見えますが、3層になっているのは履き口の部分だけで、そこ以外は他の仕様と同じ甲革と裏革の2枚で出来ています。



これが甲革と裏革の間に挟む
玉 (2).JPG玉.JPG
玉ぶち


革を履き口の長さに合わせて短冊状に裁断し、漉き加工をして折り込んでいきます




tannzaku.JPG
15mm幅位で

tannzaku (2).JPG
折り込む部分が若干高くなるように漉きます



玉 (3).JPG
綺麗に折り込みましたら


接着面のギンを欠きます
玉 (4).JPG
包丁でササっと


玉 (5).JPG
今のうちにノリを塗っておきましょう



では、甲革の方に取り掛かります


玉 (6).JPG玉 (7).JPG
まず、のび止めテープを貼りまして



その上にもノリを塗っておきましょう
玉 (8).JPG





で、玉ぶちを貼っていきます
玉 (9).JPG



ここはカーブに合わせてハサミでチョキチョキ
玉 (10).JPG
切りすぎてはいけません



逆に、こちらのカーブは
玉 (11).JPG


目打ちで寄せていきます
玉 (12).JPG


見え方を表側からもしっかり確認して
玉 (13).JPG



良ければ叩きこんで平らに均します
玉 (14).JPG




最後に裏革と合体させると
tamabuti.JPG
内側はこのようになります








今回紹介した履き口の仕様の画像は、すべて西川さんの仕事です。


もちろんそれぞれに難しさはあるのですが、やはり下ごしらえの仕事ぶりが上がりの違いに如実に現れてくるものです。



社長も信頼を置いている西川さんの製甲は、

そういった地道な部分を大切に取り組んでいる姿勢が見えてくる、

そんな顔つきをしています。





担当 根岸
posted by sinando at 16:32| manufacture

2010年08月03日

エキゾチックな

きょうは小笠原シューズにあるエキゾチックレザーを紹介したいところなんですが、


爬虫類系が苦手な方も、爬虫類系を愛している方も今回の画像はご覧にならないほうが良いかと。




エキゾチックレザーといわれているものには、どんなものが当てはまるのか?

実はあまりよく知らないのですが、今回はこれまで小笠原シューズで扱ったことのあるものだけ紹介します。





こちら
ダチョウ.JPG
遠目からではちょっとわからない?


近づいて
ダチョウ (2).JPG
はい、オーストリッチです


ダチョウの革、ただし特徴的な毛穴の部分はほぼ靴として使いきってしまったので、これでは何の革だかわからないですね。


一枚革はかなりの大きさがあるのですが、オーストリッチという特徴のある部分は僅かですので高価なものになります。





続いて
トカゲ.JPG
これはわかりやすい、リザード

はい、トカゲです




模様はこんな
トカゲ (2).JPG

薄手の革ですから、靴にするときは裏打ちをしています


トカゲは底付けしたことがあります



その時の注文は、

「製甲は内羽根プレーンで、底付けは九分仕立てのヤハズコバで」

というものでした



革は鱗のようで硬そうに見えますが、そんなこともなく割とやり易い印象でした。



でも、社長に聞いたら

「トカゲは色んな種類がある」

とのことでしたので、油断なりません。



トカゲ (3).JPG
ブラウン系と、先程のものとはおそらく種類の違うであろうトカゲ

トカゲ (4).JPGトカゲ (5).JPG






こちらは
ワニ.JPG
有名な、クロコダイルです

はい、ワニですね



靴の道具にもワニってのがありますので、会話の中でワニを取り違えないように注意しないとチグハグな会話になってしまいます。




ちょっと雰囲気が違う
ワニ (2).JPG
これはオイル系の仕上げになっているワニです



近づいて、裏面も
ワニ (3).JPGワニ (4).JPG

ワニはお腹の部分が一番綺麗な模様になっていますので、この辺りを使います。






だからこんな姿に
ワニ (5).JPG





柄あわせのために靴としては、2匹で1足分です。



ワニの革なんて時価みたいなもんですから、それはそれは…




ワニも1度底付けしたことがあります。

その時は、

「製甲はホールカットで、底付けがマッケイ製法」


ワニも作業自体はやり易い印象でしたが



これ、何だか凄い注文でしたね。









ワニもトカゲも横幅があるものが高値だそうです。


お腹がぽちゃぽちゃしてたら有難がられる、この理屈だと僕は相当有難がられます





ということで、
ワニ (6).JPG
尻尾ばかりが残ってます





奥山さんに、

「これまで何か珍しい革で底付けしたことありますか?」


聞いてみたら、


「そうだなぁ、そんなに珍しくないけどダチョウの足な。

それから、カメだな。

あとはー、金魚あるよ。

女性物のパンプスでな。ちゃんと模様まで残ってるんだよ。」




金魚?





錦鯉?



そんな大きな金魚っているんですか?


担当 根岸
posted by sinando at 20:35| manufacture

2010年07月29日

古いモデルラスト

「日本人の足の特徴は?」

と聞かれたら、おそらく答えは

「甲高、幅広」

こんなイメージがありませんか?




社長に聞けば、実際に昔はそのような足が多かったようです。

日本人の体型も時代とともに変化してきたように、足もかつての「甲高、幅広」から変化してきているかとおもわれます。


僕が注文靴の木型に携わるようになって4年くらいですが、その中で「甲高、幅広」の足はあまり多くありません。


むしろ「甲が低くて幅はそれほど広くない」という足の方が多いような…




社長も


「うん、変わってきてるよ」


なんて軽く教えてくれますので、きっとそうなんだと



そういう僕の足も薄っぺらくて幅がないのですが




それこそ、人それぞれの足なので「日本人の」ということで括ることが難しいんですかね。


もっと経験を積んで勉強しないと答えは出せません。









では参考資料としまして、その「甲高、幅広」時代と思われる頃の、既成靴のモデルラストを紹介させてください。

おそらく1950年〜70年に削られたものだそうです。(社長の記憶なので)

モデルラストといっても当時からいろいろな形があるのですが、その中でもちょっと特徴的なものを選んでみました。

モデル.JPGモデル (2).JPG

モデル (3).JPGモデル (4).JPG

これらはポインテッドトウといえばいいんでしょうか?



捨て寸は当時の特徴であまりとっていないですが、

かなり頭の形状が尖っていますよね



モデル (5).JPGモデル (6).JPG

モデル (7).JPGモデル (8).JPG

なんだか「甲高、幅広」のイメージと合わないんですが、どれも当時の日本人の木型職人が日本市場向けに削りだしたものです




「これで当時の人は既成靴で履けたんですか?」

なんて社長に聞いたら

「これ、見た目と違って足入れはいいんだよ」

とのお答えでした。



モデル (9).JPG
真上から



モデル (10).JPG
内側



モデル (11).JPG
外側



モデル (12).JPG
後側

日本人は「踵が小さい」という特徴は昔から変わってないようなので小振りにできてます



モデル (13).JPG
裏側





海外のものとは明らかに違いますよね、設計の仕方なんかも当時の木型職人が研究して、こういった特徴の木型になったのかなぁ。

削りだした方はもういらっしゃらないので、聞きたくても聞けませんが。







あと、捻じれた木型のことを最近よく耳にしますね


もでる.JPGもでる (2).JPG

見てみたら昔のモデルラストも捻じれてました






担当 根岸





posted by sinando at 19:46| manufacture

2010年07月24日

効率よく

このところの暑さには、正直まいっております。

こちら西東京市(旧 田無市)は、午後になると光化学スモッグ注意報が発令されるような毎日です。


汗かきで暑さが苦手な僕は、お茶ばかり飲んでヘロヘロで作業しています。


僕と向かい合わせで作業している青木君は、尋常でない汗の僕の姿を毎日見せつけられて苦い顔をしています。(いい加減慣れなさいよ)




そんな毎日ですがいつも通り納期は迫ってきますので、より頑張らなくてはいけませんですね。







小笠原シューズで働くようになって、現在僕は6年目に入っています。



「上手く、早く、出来るようにならないと製造屋の仕事にならない。」



と、初めの頃からずっと社長に言われてきました。




人の仕事を見て聞いて試して





効率良く作業を進めるにはどうすればいいか、これまでいろいろ工夫してきました。


単純に人の真似してみるのが近道かもですよね





今では自分自身の効率のよい作業の流れはだいたい決まって、上がりの予測もつかめる感じです。(不思議と予定外が多くて困ります…)






もちろん僕だけではなく、皆自分の流れを持って作業しています。



基本的には皆、複数足を同時進行です。



靴づくりの中には「少し置いとく」って場面が以外とありまして、

1足だけで作業してるとそこで手が止まってしまったり、

じゃあということで違う作業にかかると、

何だかんだで効率的でなくなることが多々あります。






効率.JPG効率 (2).JPG
もう揺るぎない流れで


効率 (3).JPG効率 (4).JPG
社長に鍛えられて


効率 (5).JPG効率 (6).JPG
まだまだですな  青木君と根岸(靴しか写ってませんが) 







でもどんな職業でも効率的に取り組みなさいって、当然のことでしたね。









あ、社長!!

僕にはもうひと伸び出来る要素が残っていました。


エアコン.JPG

この25年選手のエアコンがもっと効いてくれれば…








何卒ご英断を

担当 根岸
posted by sinando at 18:00| manufacture

2010年07月21日

下ごしらえ

omote.JPG
これは中底材です



小笠原シューズのすくい縫いの靴は、すべてこのイタリア製の中底材を使っています



靴の材料の中でも中底は、とても重要なものの一つだと考えています



直接足を支えるものですし、靴の状態になってしまうと取り替えるということが困難なものでもあります。



ですので材料選びは慎重に。






そこで、この中底ですがとても気に入っております

しなやかでいて、かつ繊維が均一で緻密。
uramenn.JPG
こちらは裏面です


材料の良し悪しは裏面を見ると結構わかりやすかったりして




これは5mm弱に漉いてもらっているのですが
dannmenn.JPG
断面からも密度がわかるでしょうか






何より、作業していて安心して使えます

繊維が均一でなかったり、密度があまかったりすると、すくい縫いをしていても余計な心配や手間がかかったりします


特に爪先のすくい縫いではピッチが細かくなる部分があるのですが、材料によってはそのピッチの細かさですくい縫いの糸が中底の繊維を切ってしまい、どんどん中に潜っていってしまうことがあります。

そうならないために、すくいの糸に別の糸を絡げて縫うということをする場合があります。

これは意外と手間なんですね。






その点、このイタリア製の中底材は繊維が密なため、そういった糸潜りの状態になったことがありません。



安心して力を込めてすくい縫いができるということは、実は効率面でもありがたいことなんです










中底の下ごしらえとして忘れてならないのは、ぎん面をガラスで一皮むく作業

ぎんをかくって言ったりします
nakazoko (2).JPG




では何のために?



主に、足入れした時の滑り止めの意味や汗などの吸湿性向上のためです(他にも理由があるかも)


nakazoko (3).JPG
このくらい差があります(一応 左済 右未処理)






あとは木型に合わせて粗裁ちして
aradati.JPG


一晩癖付けしておきます
aradati (2).JPG









青木君が半年くらい履いた状態の中底です
inn.JPG
沈んで足跡が付いていますね







nakazoko.JPG

中底の下ごしらえではぎん面一皮むく作業忘れたことないんですが




このブログを書いている人自身は、一皮も二皮もむけていただかないと…








耳がイタイ 担当 根岸
posted by sinando at 19:39| manufacture

2010年07月17日

親子

フル.JPGフル (2).JPG
こちら、フルブローグの靴です。



この靴の特徴でもある、パーフォレーションとメダリオンの穴飾り。



よく見られるのは、パーフォレーションの大きな穴  と小さな穴 。。 の組み合わせを連続していく穴飾り。



親子穴と呼んでいます




小笠原シューズでは一つ一つポンチを使って手で抜いています。



この作業は、集中力と根気のいる作業です。



小笠原シューズでの抜き方は、大きい親穴のみあたりをつけておき、小さい子穴は目見当なんですが、等間隔に抜いていくには一定のリズムが大切です。



製甲士でもある社長は、親穴も要所だけはあたりをつけますがあとはすべて目見当。

といっても初めからそうできたわけではなく、社長の親方はとても厳しい方だったそうで、常に均等な穴飾りと作業スピードをチェックされ鍛えられた上での技術です。




今では西川さんが受け継ぐべく鍛えられています。
親子.JPG親子 (2).JPG

親子 (3).JPG親子 (4).JPG

親子 (5).JPG親子 (6).JPG

親子 (7).JPG親子 (9).JPG
いまのところ、親穴の当たりをつけて子穴の間隔は目見当での作業です。




と、簡単に僕は書いてますが西川さんの疲労度は相当のようで、帰宅時には抜け殻に…




当たり前ですがフルブローグの製甲は、普通の製甲より手間も時間もかかりますし、穴飾り以外の技術にも高いものが必要とされます。




親子 (8).JPG
ちなみに今は3足同時進行中





親子 (10).JPG
こちら、僕がつり込みました 25.5p の靴



ちょっと穴の数、数えてみました

両足で

親穴 300穴

子穴 600穴

メダリオン  182穴



3足同時進行の場合だとって…




僕も暇じゃないんです






親子 (11).JPG
また西川さんの作業机に銀河系ができあがっていました




がんばりましょ、西川さん  


あともうちょっとで完成ですから












あ、この後セミブローグ控えてますんで。


担当 根岸
posted by sinando at 16:48| manufacture

2010年07月16日

圧着

圧着.JPG

この迫力の機械



さて、なんでしょう?



タイトルでバレてますが、

そうです圧着機です。




小笠原シューズの古い機械シリーズではないですが、これも現役で活躍中。



こんな大層ななりをしていても、

仕事は本底をしっかりくっつけるのみ




ええ、靴製造にはとても大事なことです





圧着 (2).JPG
ここに圧着したい靴をセットします



下側から相当の圧がかかりますからね、はずれてどこかに飛んで行ってしまった…

なんて、大変なことになりますから、頑丈なギザギザで固定






圧着 (3).JPG
こちらは本体とも言うべき部分、コンプレッサーですね

空気を圧縮して力を発揮します






では実際に動かしてみましょう
圧着 (4).JPG
圧着したい靴を両足セットします


主にマッケイ製法の靴での本底圧着に使用しています




圧着 (5).JPG
さあ、スイッチを入れてコンプレッサーが動き出します




圧着 (6).JPG
圧もちゃんと見ていて下さいよ


適切なところで止めないと恐ろしいことに、ですから






圧着 (7).JPG
このバルブをひねると圧縮空気が





靴の下の白っぽい部分に入り、膨らみます
圧着 (8).JPG
下側からの強い圧でしっかりくっつくのです




マッケイの靴の場合は特に、アッパーと底部のキワの部分が綺麗に接着されていないとその後の作業面で、あがりの精度や効率に影響が出てきますのでしっかりと行いたいところです




しかし音から何からどんな大仕事を成し遂げるんだって雰囲気で機械室に鎮座しています






見た目と大げさな働きっぷりから、なんとなく






いつかこの圧着機は「ジブリ映画のワンシーンに登場するのでは」と踏んでいるのですが




担当 根岸
posted by sinando at 18:56| manufacture